大好きな君

 

 

僕と君はいつでも一緒

君が仕事から帰ってくると、僕は君の膝の上に座る

君は僕の頭や体を撫でてくれる

その時間が僕は大好きだった

僕はいつでも優しく笑ってる君が大好きだった

僕は散歩が大好きだったから

君は一日に2回散歩に連れて行ってくれた

どんなに雨の強い日でも必ず散歩に連れて行ってくれた

仕事に行く前、帰ってきてから

そして君がお休みの日には昼間も一緒に散歩に行った

そんな毎日が幸せで嬉しくて、永遠に続くと思っていたんだ

だけど

だんだん僕は年をとって

散歩に行けなくなってしまった

一日2回だった散歩は1回に減り、時間も短くなった

それでも君と僕はいつでも一緒だった

すぐに疲れてしまう僕を君は気遣ってくれた

君は散歩に行くのをやめようかと言ったけど

僕は絶対にうんとは言わなかった

だって

君と僕の大好きな散歩をやめるなんて僕にはできなかったんだ

家の中ではいつだって君の膝の上にいた

君がトイレに行く時もついていった

そのたびに君は笑ってた

でも今は

トイレまでついていくこともなくなった

それでも僕は君の側にいたかった

なんだろう最近すぐに疲れちゃうんだ

僕もずいぶん年をとったんだな

君も年をとったけど

僕よりとても若い

最初は僕の方が年下だったのに

いつのまにか追い越してしまったね


君はご飯を残す僕を心配そうにみつめた

僕は君を心配させたくなくて一生懸命食べたけど

それでも全部食べられない

君は僕の食事の量を減らした

君が減らす量は日に日に増えていく


ある日、僕は君が散歩に行こうと言ったけど

断ってしまった

朝からすごく眠たかった

眠くて眠くてしかたなかった

ぐずる僕を君はいつものように膝の上にのせて微笑んだ

君は本を読み始めた

僕は君の膝の上で安心して

いつのまにか眠ってしまった

君の膝の上は僕にとって最高のベッドなんだ

君の膝の上で僕は夢を見た

君と一緒に散歩をする夢

あの頃のように元気に笑いながら散歩をする夢

なんて幸せな夢を見たんだろう


夢を見ながらふと気が付くと

君が僕を見つめて涙を流していた

なんで泣いてるの?

ごめんね、最近一緒に散歩に行けなくて

昔のようにもう一度楽しく君と散歩が出来るようになるから

もう少し待っていてよ

ただ今はとても眠たいんだ

少しだけ寝かせてくれよ

僕が起きたら、また一緒に散歩に行こうよ

だからもう少しだけ待っていてね

そういう僕に君は涙を拭いて笑ってくれた


良かった

安心して眠るよ

もし僕が起きなかったらちゃんと起こしてね

君まで一緒に眠って夜になっちゃったら困るから

今日は絶対夢で見たように君と散歩に行きたいんだ

だから君は眠っちゃだめだよ




そういって僕は深い眠りに落ちた

君と一緒に散歩をする夢を見ながら

夢の中で僕と君はずっと走り回っていた

楽しく笑いながら

僕は本当に幸せ者だな

大好きな君のそばで笑っていられるんだから

夢から覚めても同じように散歩をしようね

走り回れるように元気を蓄えておくよ

まだまだ大丈夫


君との散歩を楽しみにして眠るよ

大好きな君の膝の上で